ヒューリック(3003)が高配当株投資として長期運用するのにむいているかを分析します。
- 業種:不動産事業
- 時価総額1兆円越えの大企業
- 都内に好物件を多数所有
- 株主優待も人気
- 詳細は公式HPをご覧ください
この記事を読むと以下のことが分かります。
- 過去データの閲覧方法や分析方法
- この株が高配当株投資にむいているか
- 購入タイミングの考え方
- 株主優待や権利確定日の情報
注意点もご確認ください。
- 2023年10月時点の情報をもとに分析しています。
- この記事は、私が個人的に銘柄分析したものを備忘録的にのこしたものです。
- 将来の値動きはだれにもわかりませんので参考程度にご覧ください。
- 投資は自己責任でお願いいたします。
それでは早速分析していきましょう。
分析方法
過去のデータを分析して、高配当株投資に適しているかを見極めます。
分析するデータはIR BANKというサイトから引用。
分析方法は下記の動画を参考にさせていただいております。
- チャンネル登録者数240万人越えユーチューバー、両学長さんの動画です。
- 高配当株の選別方法を知りたい方にはとても参考になる動画です。
- 動画内の文言を多数引用させていただいております。
この動画を参考に以下の項目をチェックします。
(IRBANKの使いかたは動画の9:15を参照してください。)
- 売上高
- EPS(一株当たりの利益)
- 営業利益率
- 自己資本比率
- 営業活動によるCF
- 現金等
- 1株あたり配当金
- 配当性向
結論
まずは結論です。
分析の結果、ヒューリックは高配当株投資とし適していると判断しました。
動画のとおり分析したところ、下記のような結果に。
※◎と〇は合格点です
分析ポイント | 結果(◎〇△×の4段階) |
売上高 | ◎ |
EPS | 〇 |
営業利益率 | ◎ |
自己資本比率 | △ |
営業活動によるCF | 〇 |
現金等 | ○ |
1株あたり配当金 | ○ |
配当性向 | ◎ |
自己資本比率は、合格点とは言えず今後の動向に注視する必要あり。
その他の指標はすべて問題ないので総合的に合格点としました。
分析の詳細は下記をごらんください。
記事後半には、購入タイミングのヒントや配当金の権利確定月情報などもあります。
分析
各指標をくわしく分析していきましょう。
過去のデータを分析して、高配当株投資にむいているのか判断します。
売上高
売上高とは、売上金額の総額です。
会社によっては「営業収益」や「収益」などいろいろな呼ばれ方があります。
分析するときのポイントは次のとおりです。
- 右肩上がりで売り上げが伸びているか
- 売り上げの増減が激しくないか
売上高の上下が激しい、つまり業績が不安定な企業は高配当株投資には向いていません。
業績が安定していなければ配当金も安定して払えない確率が高いですよね。
売上高のデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
多少の増減はありつつも、全体的にはイイ感じで右肩上がりですね。
問題なさそう。
EPS
EPS(Earnings Per Share)とは、一株あたりの利益のこと。
株式投資においてもっとも重要な指標です。
超有名な投資家バフェット氏も重要視しています。
分析するときのポイントは次のとおりです。
- 右肩上がりで伸びているか
極論、EPSが右肩上がりなら企業経営は100点。
もしEPSがさがっていたら、まずいかも。
EPSのデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
ここ10年以上右肩上がりなのでよさそうですね。
営業利益率
営業利益率とは、売り上げのうち営業利益の占める割合です。
これが高いほど収益性の高い企業といえます。
つまり儲かるビジネスをやっているということです。
分析するときのポイントは次のとおりです。
- 10%以上なら優秀
- 5%以下なら検討の余地なし
東証1部上場企業(金融業以外)の営業利益率の平均は7%前後。
利益率が伸びているか悪化しているかトレンドもチェックしましょう。
営業利益率のデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
ほとんどの年で20%以上。
優秀ですね。
自己資本比率
自己資本比率とは、企業の安全性を表す指標です。
これが高いほど潰れにくい会社ということ。
100万円資本があったとして、その内40万円が借金なら自己資本比率60%です。
分析するときのポイントは次のとおりです。
- 最低でも40%は欲しい
- 60%以上なら安心
- 80%以上なら♡
中小企業の場合、自己資本比率40%以上の会社が10年以内に倒産する確率は3.5%。
上場企業で自己資本比率60%以上なら倒産リスクはかなり低いといえそう。
自己資本比率のデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
最低でも40%はほしいところ29.5%なので、かなり低い数値です。
もしかしたら不動産業は営業利益率が低い可能性もあるので、同業他社と比較します。
会社名 | 時価総額 | 自己資本比率(直近5年平均) |
三井不動産 | 3兆1395億円 | 33.38% |
三菱地所 | 2兆6651億円 | 30.6% |
住友不動産 | 1兆8139億円 | 26.14% |
ヒューリック | 1兆555億円 | 26.86% |
※数字は記事作成時点のものです。
ヒューリックは時価総額1兆円をこえているので、同じく1兆円越えの3社と比べました。
この数値を見ると、不動産業の自己資本比率の基準は通常よりも低そうです。
とはいえ4社中3位なので合格点とまではいえなそう。
この数値を踏まえて今後の動向に注目しましょう。
営業活動によるCF
営業活動によるCFは、営業活動(商売)で手元の現金がいくら増えたのかを表す指標。
ちなみにCFとはキャッシュフローのことで、お金のながれのことです。
分析するときのポイントは次のとおりです。
- 毎期黒字であること
- 増加傾向にあること
動画作成者の両学長は、過去10年で1度でも赤字の年がある場合購入しないそうです。
営業活動によるCFのデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
毎期黒字で増加傾向。
問題なさそう。
現金等
企業の目的は現金を稼いでふやすこと。
なので増えているかちゃんとチェックしましょう。
分析するときのポイントは次のとおりです。
- 長期的に増えていくのが理想
現金がたくさんあれば、不景気を乗り越えられるし事業投資もたくさんできるし配当や自社株買いで株主に還元できる。
また、現金をあまり持っていないように見えても株や債券などの資産を保有している可能性もあります。
現金等のデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
増加傾向ですね。
問題なし。
1株あたり配当金
1株あたり配当金は、高配当株投資においてトップレベルに重要な指標。
絶対にチェックしましょう。
分析するときのポイントは次のとおりです。
- 配当金の安定性
- 配当金の成長性
減配(配当金が減ること)や無配(配当金が0円になること)がないか確認。
また、減らないだけでなく増えているかも重要。
また、リーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)などの不景気時の動きは要チェック。
1株あたり配当金のデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
ここ10年はイイ感じですね。
減配した過去も頭の片隅には覚えておきたいところ。
配当性向
配当性向とは、利益の内何%を株主にキャッシュバックするかを示す指標。
企業が無理をして配当を出していないかをチェックできます。
分析するときのポイントは次のとおりです。
- 30~50%が健全
- 70~80%は警戒ライン
70~80%は配当維持が厳しくなりそうな水準。
配当性向のデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
健全な水準ですね。問題なし。
さらに分析(収益性)
上の8項目をチェックし、ヒューリックは高配当株投資として適していると判断しました。
ここではさらに高配当株投資に重要な項目「収益性」をチェックします。
収益性とは、企業の稼ぐ力を判断する指標です。
※下記の書籍を参考にさせていただきました。
ROE
ROE(Return On Equity)とは、日本語では自己資本利益率。
どれぐらい効率良くお金を稼いでいるかを示す指標です。
- 基本的には10%を上回れば優良企業
- ただし業種によっては基準が異なる場合もある
ROEのデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
10年ほど10%以上をキープできているので問題なしです。
同業他社との比較
同業他社と比較して、不動産業の基準をさぐります。
会社名 | 時価総額 | ROE(直近5年平均) |
三井不動産 | 3兆1395億円 | 6.55% |
三菱地所 | 2兆6651億円 | 7.79% |
住友不動産 | 1兆8139億円 | 9.55% |
ヒューリック | 1兆555億円 | 12.04% |
※数字は記事作成時点のものです。
ヒューリックは時価総額1兆円をこえているので、同じく1兆円越えの3社と比べました。
ヒューリックが一番良い数字なので、不動産業の中でもROEは優秀といえそう。
ROEの分析結果をまとめると
- 10%以上なので優良企業
- 同業他社との比較でも優秀
ROA
ROA(Return On Asset)とは、日本語では総資産利益率。
収益力の高さを判断する指標です。
- 基本的には5%を上回れば優良企業
- ただし業種によっては基準が異なる場合もある
ROAのデータは以下のとおりです。
(出典:IR BANK)
5%に届かないので少し物足りないですね。
でも少しずつ上昇しているので今後の伸びに期待しましょう。
同業他社との比較
同業他社と比較して、不動産業の基準をさぐります。
会社名 | 時価総額 | ROA(直近5年平均) |
三井不動産 | 3兆1395億円 | 2.17% |
三菱地所 | 2兆6651億円 | 2.39% |
住友不動産 | 1兆8139億円 | 2.60% |
ヒューリック | 1兆555億円 | 3.31% |
※数字は記事作成時点のものです。
ヒューリックとおなじ時価総額1兆円超えの3社と比べました。
ヒューリックが一番良い数字なので、不動産業の中では優秀ですね。
ROAの分析結果をまとめると
- 5%以下なので、すこし物足りない数字
- 同業他社との比較では優秀
購入タイミング
せっかく良い株をみつけても購入タイミングが難しいですよね。
できるだけ安く買いたいけれど、今の株価が割安かどうかわからない。
そこで、現在の株価が割高か割安かをはかる指標をご紹介します。
それがPERとPBRです。
この指標をもとにヒューリックが割安かどうかを分析します。
PER
PER(Price Earnings Ratio)とは、日本語では株価収益率。
PERは、現在の株価が割高か割安かをはかる指標です。
- PERが低いほど割安、高いほど割高
- 一般的に15倍が適正値といわれている
- ただし業種などにより適正値は変わるので注意
- 長期的なPERの推移もチェックする
2023.10.11現在のPERは12.0倍。
15を下回っているので割安といえそう。
長期的には今の値がどうなのか見てみましょう。
年単位の推移
(出典:IR BANK)
月単位の推移(クリックで拡大)
(出典:IR BANK)
どちらのデータを見ても、いまは結構割安圏です。
業種ごとのPER適正値を調査
同業他社と比較して、不動産業のPER適正値をさぐります。
会社名 | 時価総額 | PER(直近5年平均) |
三井不動産 | 3兆1395億円 | 14.21倍 |
三菱地所 | 2兆6651億円 | 16.52倍 |
住友不動産 | 1兆8139億円 | 11.61倍 |
上記の3社平均 | 14.11倍 | |
ヒューリック | 1兆555億円 | 12.12倍 |
※数字は記事作成時点のものです。
ヒューリックとおなじ時価総額1兆円超えの3社と比べました。
3社の平均値よりも低い値となったので、不動産業のPER適正値的にも割安感があります。
PERの分析結果をまとめると
- 適正値15倍から見れば割安
- 過去の推移からみても割安
- 同業他社との比較でも割安
PBR
PBR(Price Book-value Ratio)とは、日本語では株価純資産倍率。
PBRは、PERと同様に現在の株価が割高か割安かをはかる指標です。
- 基本的には1倍を下回っていれば割安
- 財務状況や業績が悪い場合は、1倍以下でも割安ではない可能性あり
- 同業他社をチェックして業界の平均値をみるのも大事
- 長期的な推移もチェックする
2023.10.11現在のPBRは1.43倍。
1倍をこえているので、割安感はないですね。
長期的には今の値がどうなのか見てみましょう。
年単位の推移
(出典:IR BANK)
月単位の推移(クリックで拡大)
(出典:IR BANK)
ここ10年くらいで見ると割安水準ですね。
業種ごとの平均値と比較
同業他社のPBRとヒューリックの値を比較します。
会社名 | 時価総額 | PER(直近5年平均) |
三井不動産 | 3兆1395億円 | 0.91倍 |
三菱地所 | 2兆6651億円 | 1.27倍 |
住友不動産 | 1兆8139億円 | 1.15倍 |
上記の3社平均 | 1.11倍 | |
ヒューリック | 1兆555億円 | 1.51倍 |
※数字は記事作成時点のものです。
ヒューリックとおなじ時価総額1兆円超えの3社と比べました。
3社の平均値よりも高い値となったので、不動産業の平均値からみると割高感があります。
PBRの分析結果をまとめると
- 1倍を上回っているので割安ではない
- 過去10年くらいの推移から見ると割安
- 同業他社との比較では割高
株価
ヒューリックの株価は2014年ごろから1400円を突破できません。
だいたい850円から1,400円の間で推移しています。
(出典:IR BANK)
ヒューリックはよく増資をするので株価が上がりにくいのかもしれません。
※一般的に増資をすると株価は下落する。
今後もこの値動きパターンが続くなら、1,000円以下が買い時でしょうか。
当然、1,400円を突破したり850円を下回る可能性もあります。
この値動きパターンを盲信しないようにしましょう。
記事作成時点での株価は1,369円なので、このチャートパターンからすると割高です。
このまま上昇したとして、今回もまた1,400円で跳ね返されるのか注目ですね。
購入タイミングまとめ
購入タイミングを分析しました。
結果をまとめるとこんな感じです。
- PERは割安
- PBRはどちらともいえない
- 株価は割高
株価の値動きパターンだけ見ると、1,000円以下(できれば900円くらい)まで下がってから買うのがベストのような気がします。
配当利回りや次にご案内する権利確定月などを総合的にみて購入するかどうか決めましょう。
配当金・株主優待の情報
高配当株投資にとって、配当金の権利確定月や株主優待の情報はだいじです。
特にヒューリックは株主優待が人気です。
欲しい方は権利確定日をちゃんとチェックしましょう。
配当金の情報
配当金を受け取るには、権利付き最終日に株を保有していればOK。
ヒューリックの場合は、6月と12月に権利付き最終日があります。
- 権利付き最終日は月の最終日ではありません。
- 証券会社のHPなどで必ず日程を確認してください
株主優待の情報
ヒューリックの株主優待はグルメカタログギフトです。
2024年までと2025年以降で、株主優待の内容が違うのでご注意ください。
2024年まで
必要な株数 | 保有年数 | 優待の内容 |
300株以上 | 3年未満 | グルメカタログギフトから1点(3,000円相当) |
3年以上 | グルメカタログギフトから2点(6,000円相当) |
2025年以降
必要な株数 | 保有年数 | 優待の内容 |
300株以上 | 2年未満 | なし |
2年以上 | グルメカタログギフトから2点(6,000円相当) |
株主優待の権利確定月は12月。
2023年の権利付き最終日は12月27日です。
高配当株投資に適した証券会社
高配当株投資は、株を買ったら持ち続けるのが基本スタイル。
証券会社との付き合いは何十年と続くのです。
なので、つぶれる確率が極力低い大手証券会社を選びましょう。
2023年10月現在、ネット証券の口座開設数トップ3は以下の通り
順位 | 証券会社 | 口座開設数 |
1位 | SBI証券 | 約1,000万口座 |
2位 | 楽天証券 | 約900万口座 |
3位 | マネックス証券 | 約200万口座 |
各社の特徴をご案内します。
- 特定口座の日本株:売買手数料が無料
- 新NISA:日本株や米国株など主要商品の売買手数料が無料
- 日本・アメリカなど10ヶ国の商品を扱っている
- TポイントやPontaポイントなどがたまる
- 口座開設はこちら
【SBI証券】国内初の1,000万口座突破!
- 特定口座の日本株:売買手数料が無料
- 新NISA:日本株や米国株など主要商品の売買手数料が無料
- 楽天ポイントや楽天キャッシュがつかえる
- 日経新聞や株関連の書籍が無料でよめる
- 口座開設はこちら
【楽天証券】最大20,700ポイントのチャンス!
- 新NISA口座での取引はすべて売買手数料無料
- 日本株・外国株・投資信託・金・プラチナなど幅広いラインナップ
- IPOの取扱数が多い
- 超優秀ツールの銘柄スカウターが無料で使える
- 口座開設はこちら
【マネックス証券】銘柄スカウターが無料で使える!
トップ3なだけあって、どの証券会社もすばらしいサービス内容です。
各社のメリットを把握して、証券口座をうまく使いこなしましょう。
どれか1社に決められないかたは複数口座を開設するとよいかもしれません。
- 日本株・米国株・投資信託などを口座ごとに分けて管理できる
- 1口座に資産がまとまらないので、万が一倒産した時のリスク分散になる
- 取扱い銘柄の数・米ドル購入手数料など、各社違いがあるので選択の幅が広がる
- IPOの当選確率がアップする
昔は口座開設の手続きが面倒くさい印象がありましたが、最近はかなり簡略化しています。
サクッと開設して新NISAに備えましょう!
まとめ
ヒューリックの銘柄分析をしました。
財務はおおむね良好という印象です。
一番気になったのは株価の値動きパターン。
記事作成時点の株価は1,400円間近です。
過去のパターン通り1,400円をこえず下落するのか注目します。
年末年始に向けて下落したら新NISAで買うのもありかもしれませんね。
参考にさせていただいた動画の両学長は本も出されています。
「お金の大学」という本で、特徴は以下の通り。
- お金の知識を幅広く勉強できる本です。
- なんと120万部突破しました!
- オリコン年間“本”ランキング2022のビジネス書第1位!
まだ読んでいないかたは是非!